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PCDビューワー大幅アップデート – モバイルLiDARスキャン対応&ひび割れ検出データの3D可視化を実現
スマートフォンLiDARで取得したPCDデータのブラウザ閲覧に対応
これまで据え置き型や業務用スキャナーで取得したPCDファイルの閲覧に特化していた当社の無料オンラインPCDビューワーが、今回の大幅アップデートによりスマートフォンアプリで撮影したPCDデータの読み込みにも正式対応しました。
近年、iPhone ProシリーズやiPad ProなどLiDARセンサーを搭載したモバイルデバイスの普及が進んでいます。Polycam、3d Scanner App、SiteScapeといったモバイルスキャンアプリを使えば、誰でも手軽に現場の3D点群データを取得できる時代になりました。しかしながら、モバイルアプリから出力されるPCDデータは、業務用スキャナーとはデータ構造やスケールが異なるケースが多く、既存のビューワーでは正しく表示されないことがありました。
今回のアップデートでは、モバイルアプリ特有のデータ形式やカラー情報の違いに対応するパーサーを実装し、アプリで撮影した点群データもブラウザ上でそのまま高品質に3D表示できるようになっています。現場でスマートフォンを使ってスキャンしたデータを、オフィスに戻ってすぐにブラウザで確認するといったワークフローが、追加のソフトウェアなしで実現可能です。
ひび割れ検出解析データの3D可視化に対応
今回のアップデートのもう一つの大きな特徴が、当社が開発したひび割れ検出ツール「PCD Crack Detection」による解析結果の可視化への対応です。
PCD Crack Detectionとは
PCD Crack Detectionは、LiDARで取得した点群データ(PCDデータ)からコンクリート構造物のひび割れを自動検出する、当社独自の解析ツールです。点群データを入力するだけで、AIと幾何学的解析のアルゴリズムにより、構造物表面のひび割れ箇所を高精度に特定します。
ビューワーで確認できる解析情報
PCDCrackDetectionで解析を行うと、検出されたひび割れごとに以下の情報がPCDデータ上に直接アノテーションされます。

- C(Crack番号): 検出されたひび割れの識別番号(例:C0-002, C0-013)
- L(Length / 長さ): ひび割れの延長距離(例:L:0.437m, L:0.593m)
- W(Width / 幅): ひび割れの開口幅(例:W:1.0mm, W:1.0mm)
- D(Depth / 深さ): ひび割れの深さ推定値(例:D:0.5mm, D:0.01m)
- A(Area / 面積): ひび割れの影響面積(例:A:0.0166m², A:0.0285m²)
これらの情報が3D空間上で各ひび割れの位置に直接表示されるため、構造物のどの箇所にどの程度の損傷があるのかを直感的かつ定量的に把握することができます。従来は2Dの図面上にマッピングしていた損傷情報を、3D点群データと統合して閲覧できるため、補修計画の立案や経年変化の比較がより効率的に行えます。
LiDAR × AIで実現するインフラ点検の未来構想
当社では、今回のPCDビューワーのアップデートとPCD Crack Detectionの開発を起点として、LiDAR機能を活用したインフラ点検システムの総合的な実装を構想しています。
フェーズ1:現場スキャンの簡素化
スマートフォンやタブレットのLiDARセンサーを活用することで、高額な専用機材がなくても現場の3Dデータ取得が可能になります。点検員が手持ち端末一つで橋梁やトンネル、建物外壁のスキャンを実施し、取得データをクラウドにアップロードする仕組みを整備します。これにより、点検作業のハードルを大幅に下げ、より頻繁な定期点検の実施を支援します。
フェーズ2:AI解析の自動化パイプライン
アップロードされた点群データに対して、PCD Crack Detectionをはじめとする複数の解析エンジンを自動的に適用するパイプラインを構築します。ひび割れだけでなく、鉄筋露出、剥離、変形といった多様な劣化事象を網羅的に検出し、損傷度の自動判定まで一気通貫で処理することを目指しています。
また、AI解析では限界があるため、人の目視と手作業での修正を行うことで、あくまでも補佐ツールとして現場の作業効率化を目的とします。取得解析したデータをためていくことで精度が上がっていく仕組みを取り入れているため、点検に使われれば使われるほど精度が上がっていきます。
フェーズ3:統合管理ダッシュボード
点検結果を時系列で蓄積し、構造物ごとの劣化進行をモニタリングできるダッシュボードを提供します。過去の点検データとの比較による経年変化の可視化、補修優先度のスコアリング、次回点検時期の予測など、インフラ維持管理に必要な意思決定を支援する機能を実装していきます。
フェーズ4:レポート自動生成と行政連携
解析結果から点検調書を自動生成し、国土交通省が定める定期点検要領に準拠した報告書フォーマットでの出力を目指します。行政機関や道路管理者との円滑なデータ連携により、インフラ点検業務全体のDXを推進します。
まとめ:PCDビューワーからインフラDXプラットフォームへ
今回のアップデートにより、当社のPCDビューワーは単なる点群データの閲覧ツールから、インフラ点検ワークフローの中核を担うプラットフォームへと進化を始めました。
モバイルLiDARスキャンへの対応は「誰でも・どこでも・手軽に」現場データを取得できる環境を実現し、ひび割れ検出データの可視化は「スキャンから解析・判定まで」のシームレスなワークフローを提供します。日本全国に約73万橋ある道路橋をはじめ、トンネル、港湾施設など膨大なインフラの維持管理が社会課題となる中、LiDARとAI技術を活用した効率的な点検システムの実現に向けて、引き続き開発を進めてまいります。
最新のPCDビューワーをぜひお試しください。