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3DGS PLYファイルの高精度データ変換(GLB、3MF、STL、DXF)
技術検証と最適解の研究:3DGS PLYファイルを3D変換ツール開発
💡はじめに:3DGS PLYデータの潜在力と変換の課題
3D Gaussian Splatting(3DGS)技術により生成されるPLYファイルは、従来の3D再構築手法と比較しても圧倒的に高品質なデータを提供します。 しかし、この新しいデータ形式は、既存の3Dワークフローとの統合において重大な課題を抱えています。PLYデータをそのまま活用できるツールはまだ限られています。
📋 こんな課題はありませんか?
- 3DプリンターでPLYファイルが読み込めない
- ゲームエンジンや3D制作ツールで使うために編集できる形式が必要
- CADソフトで使える形式に変換したい
- 複数の出力形式に対応した変換ツールが見つからない
そこで、GLB・3MF・STL・DXFの4つの形式に一括変換できるツールを開発しました。 複数の変換手法を検証し、高品質な結果が得られる方法を採用しました。

本ビューアの使用方法に関するマニュアル動画はこちらでご覧いただけます。
▪︎3D Gaussian Splattingとは
3D Gaussian Splatting(3DGS)は、革新的な3Dシーン表現技術として注目を集めています。従来のメッシュベースの3Dモデルとは異なり、3DGSは空間に配置されたガウシアン(楕円体)の集合として3Dシーンを表現します。この技術により、フォトリアリスティックな3D再構築が可能となり、VR/AR、映画制作、ゲーム開発などの分野で広く活用されています。
▪︎PLYファイルから他フォーマットへの変換ニーズ
3DGSで生成されるPLYファイルは、ガウシアンスプラットの位置、色、透明度、スケール、回転パラメータなどの詳細情報を含んでいます。しかし、以下のような用途では他のフォーマットへの変換が必要となります:
STLフォーマット(3Dプリンター対応)
- 3Dプリンターでの物理的な造形
- CADソフトウェアでの編集・加工
- プロトタイピングや製造業での活用
GLBフォーマット(Web3D・ゲーム開発)
- Webブラウザでのリアルタイム3D表示
- Unity、Unreal Engineでの利用
- モバイルアプリケーションでの軽量3D表示
- 3Dasset.ioでの利用
3MFフォーマット(高精度3Dプリンティング)
- Microsoft 3D Builder対応
- カラー3Dプリンティング
- 複数材料での造形
DXFフォーマット(CAD・設計業界)
- AutoCADでの編集・設計
- 建築・機械設計での活用
- レーザーカッター、CNCマシンでの加工
▪︎高精度データ変換ツールの特徴
今回研究対象として開発した3DGS PLY変換ツールは、3DGSの特性を理解した専用アルゴリズムを搭載しており、以下の特徴を持っています。
ガウシアンスプラット最適化処理
- 元のガウシアンパラメータを保持しつつ最適化
- ポイントクラウドからサーフェスメッシュへの高精度変換
- カラー情報の正確な転送と強化
複数の表面再構築アルゴリズム
- Poisson Surface Reconstruction: 高品質な連続表面生成
- Ball Pivoting: 詳細な形状保持
- Alpha Shape: 複雑な形状への対応
- Convex Hull: フォールバック処理
環境整合性チェック
- プラットフォーム間での一貫した精度保証
- 浮動小数点演算の最適化
- 依存ライブラリの互換性確認
直感的なGUIインターフェース
- ドラッグ&ドロップによる簡単操作
- リアルタイムプログレス表示
- エラーハンドリングとフォールバック機能
▪︎変換プロセスの詳細
データ読み込み・前処理
- PLYファイルからガウシアンスプラットデータを抽出
- 位置、色、透明度、スケール、回転パラメータの解析
- データ整合性チェックとクリーニング
表面再構築
- ガウシアンスプラットからポイントクラウドを生成
- 法線ベクトルの推定と整合性調整
- 複数アルゴリズムによる段階的表面再構築
カラー転送・最適化
- ポイントクラウドからメッシュ頂点への色情報転送
- 近傍探索による重み付き補間
- カラー強化とガンマ補正
メッシュ最適化
- 重複頂点・面の除去
- 穴埋め処理
- スムージング(Laplacian、Taubin)
- トポロジー最適化
フォーマット別出力
- 各フォーマットの仕様に最適化された出力処理
- メタデータの保持
- エラー処理とフォールバック機能
▪︎3Dプリンティングでの活用事例
フィギュア・模型製作
3DGSで撮影した人物や建物を3MFやSTL形式に変換し、高精度な3Dプリンティングを可能にします。
- 表情や細部の質感を忠実に再現
- カラー3Dプリンター対応
- データ作成が写真や動画のみから可能
プロトタイピング
工業デザインやプロダクト開発において以下の用途に使えます。
- リアルな質感の製品モックアップ作成
- 機能検証用プロトタイプ製作
- デザイン検討用スケールモデル作成
▪︎Web3D・ゲーム開発での応用
リアルタイム3D表示
GLB形式への変換により、活用の幅が広がります。
- WebブラウザでのAR/VR体験
- eコマースでの商品3Dプレビュー
- バーチャルショールーム構築
ゲームアセット作成
- フォトリアリスティックな環境アセット
- キャラクターモデルの高品質変換
- レベルオブディテール(LOD)生成
▪︎CAD・設計分野での利用
建築・設計
DXF形式への変換により、製造業への活用も期待できます。
- 既存建物の3DスキャンデータをCADで活用
- リノベーション計画での現状把握
- 構造解析用データ準備
製造業・加工業
- レーザーカッター用パスデータ生成
- CNCマシン用工具パス作成
- 金型設計用参照データ
▪︎今後の展望とまとめ
3D Gaussian Splatting技術の普及に伴い、PLYファイルから他フォーマットへの高精度変換は必須の技術となっています。本ツールは、3DGSの特性を深く理解した専用アルゴリズムにより、従来の汎用変換ツールでは実現できない高品質な変換を実現しました。
3DGS技術の産業応用を大きく前進させるためにはより多くの3Dデータ形式との互換性が鍵を握ります。特に3D領域は今回挑戦した限定的なデータ形式のみならず、数多くの形式があることが2Dデータとの大きな違いとなります。データ変換のアプローチもデータ形式ごとで日夜異なる新しい方法が研究されているため、最新の論文を常に追いかけ、より最適な方法を模索していきます。
当社では3D Gaussian Splatting技術が3D領域の、特にエンタメ領域にて大きな革新をもたらす技術と捉えており、その活躍の幅を3Dプリンティング、Web3D、CAD設計など、様々な用途でのデータ活用を可能にするこのような専用変換ツールの重要性はますます高まっていくと考えています。
3DGSデータ変換ツールにご興味をお持ちの方はお気軽にお問い合わせください。